春の旬あんこ
【はじめに】
松原製餡所では「あんこにできないものはない」をモットーにあんこの開発を行ってきました。
そして気づけば今や300種類を超えるあんこを作っています。
その背景にはどんなご依頼も断らない社風にあり、
どんな依頼であっても私たちはあんこの可能性を信じてお客様の夢を叶えるためのあんこを作りたい。
そんな仲間が集まっていると、自然とあんこの種類が増えて気が付けば300種類を超えていたのです。
そんな私達ですが、今年の1月に雑談の中で
「春って美味しいものたくさんあるけど、あんこで言うたら桜餡とかよもぎ餡とかくらいしかメジャーなあんこ無いよな～」
という話が出ました。
「たしかに・・・」
「そもそもあんこに季節性を求める人も少ないのに、季節性を感じるあんこの提案が足りていないのでは・・」
「とりあえずこれまでに無いあんこ作れたらおもしろそう」
2020年1月、我々はまだこの世にない春の旬あんこの開発に着手しました。
【春の旬あんこ】
➀ 菜の花餡
菜の花は春の練り切りのモチーフとして使用されています、それではいっそのこと菜の花をあんこにしてしまおう！と考え開発しました。野生の菜の花を収穫しても良かったのですが、近所の某業務用スーパーに冷凍菜の花があったのでそちらを使用しました。とても使いやすいです。肝心のあんこと菜の花の組み合わせですが、想像以上のベストマッチです。菜の花の甘みとあんこの甘みがよく合います。この菜の花餡、おはぎにしても相性が良さそうです。そして菜の花餡、なんだか身体に良さそうな名前なのも女子的にポイントです。
➁ たけのこ餡
皆さんはどんなたけのこの食べ方が好きですか？筑前煮？天ぷら？炊き込みご飯？私はやっぱりたけのこ餡です！ポリポリという食感が楽しいあんこです。味付けは和風だしの素です。和風ポテトサラダ的なお味だと思って頂ければよいと思います。料亭の前菜に出されても全くおかしくない、上品なお味です。たけのこの使い方がワンパターンになっていませんか？一旦あんこにしてしまえばこっちのもの。パンに塗ってもよし、ごはんにかけてもよし、卵焼きの中身にしても美味しそうです。
➂ 春キャベツ餡
春キャベツ餡はキャベツをフードプロセッサーで細かくしました。味付けは醤油のみ。春キャベツの良い出汁があるので、最低限の味付けでおいしいあんこが出来ました。春キャベツ餡はぜひパンに乗せて召し上がって頂きたいです。トーストに春キャベツ餡、チーズ、トマトソースを掛ければ、ピザトーストの完成。いつでもおいしいピザトーストが出来ます。若干大きめにみじん切りにしているので、春キャベツの食感はそのまま。食材のよさを十分に生かすことが出来るのもあんこの良さです。しかしそこがあんこがシンプルだけれど、奥深く難しい食材である所以でもあります。
➃ 夜桜餡
大人な春の楽しみ方といえば、夜桜。そんな夜桜を楽しむ際に是非食べて頂きたいのが、こちらの夜桜餡です。桜餡に、弊社の特許技術である耐熱ゼリーの技術を使って、熱を加えても溶けない日本酒ゼリーを作り、あんこと一緒に熱しました。シンプルにこのままゼリー感覚でお召し上がり下さい。アルコールが苦手な方でお酒の気分を味わいたいという方にもおすすめです。
➄ ホタルイカ餡
ホタルイカ餡を開発する為の材料がなかなか手に入らず、完成までに2か月程の期間を要しました。今回の春のおもしろあんこの中で、もっとも思い入れのあるあんこ。ホタルイカの風味がかなり強い為、そんじょそこらのホタルイカ好きにはレベルが高いかもしれません。真のホタルイカ好き、又は「どんな食べ物にもホタルイカを添えて食べたい！」「ホタルイカの見た目がどうしても無理、だけどホタルイカを食べてみたい」というような方がいらっしゃいましたら、召し上がって頂きたいです。ただシンプルにホタルイカを食べる方が美味しいということは言うまでもありません。
➅ 新たまねぎ餡
新たまねぎは近所の大安亭市場で購入しました。八百屋さん曰く、新たまねぎは生で食べられることの出来るたまねぎで、水にサッとさらしてたまねぎサラダとして食べるのが良いそう！なところを、ここは松原製餡所、餡子にしました。たまねぎを軽く炒めて甘みを出し、甘じょっぱい醤油バター味に仕上げました。あんこを入れることでトロミがつき、もったりと濃厚な仕上がりになります。この新たまねぎ餡にマカロニとチーズさえ入れれば、グラタンを食べた時のような幸福感がもれなく押し寄せるでしょう。
【終わりに】
春の旬あんこは代表的な食材だけどまだあんこになっていない春の旬食材を使用しました。「あんこはおやつ、スイーツである」という常識をひっくり返すあんこができました。
今年の花見はこんな感じで春の旬あんこ弁当で一杯やろうかなと思います。